先日テレビで94歳の現役理容師の方とビートたけし氏の対談が流れていました。
「たけしの日本教育白書」でのひとつのコーナーでした。
『94歳で現役』というだけでも驚きですが、さらに私が驚いたのは、その方の住まい兼店舗でした。
電車のガード下の1階に店舗、2階に住まい。
とても狭く、当然、ガード下ですから電車が通るたびにひどい音がします。
彼女は(その方は女性でした)、そこで、ご主人とともに何十年も前に店を開き、こどもも、そこで育て上げ、子どもが巣立ち、ご主人が亡くなられた後もずっとそこに住み、理容師として働きつづけています。
そしてひとりになった今も、幸せそうに(当然いろいろな苦労を乗り越えてきた深みのある幸せ)そこで暮らし、働いています。
たけし氏との対談の中で、彼女が言った言葉、
「はたらく」ということは、「はたをらくにする」ということ
その信念があったからこそ、誇りを持って、何十年も理容師という仕事を続けてこられたのだと思います。
そして、人は働くために生きているんだというようなこともおっしゃっていました。
これは、私が以前に読んだ本でも同じようなことを書いている人がいました。(とてもあいまいな記憶ですが、スイスの教育家ペスタロッチの本だったと思います。。)
人が生きる上で、働かなくて何をするんだ?働かずして、何のために生きるのか…。というようなことだったと思います。
私は、お客様ご家族の家づくりのお手伝いをさせていただくことを仕事として「はたらいて」います。
理容師の彼女の言葉に照らして、私が本当の意味で「はたらいて」いるのかどうかを常に自身の心を監視しながら、はたらかなければいけないと思いました。
そして、ガード下の小さな家でも、結果として彼女のような素晴らしい晩年を迎えられる場所になるということが、本当の意味での家族の幸せのための「家」づくりの糸口になるような気がしてなりません。
今は、その答えは、はっきりとは言葉にできませんが、一つだけ確かだと思えることは、
高級な材料を使って、何十畳もあるリビングダイニング、部屋数がたくさんあって、子ども部屋も一人に一つ、豪華な設備を備えることとが、そのまま「いい家」とはならないということです。
電車が真上を通ってうるさくて、部屋も家族でひとつしかない、そんな家でも家族の幸せのための家となりうるのですから、私が仕事として、「はたらく」ための、本当の意味でのいい家づくりは、表面的なことではなく、そのご家族の心にどれだけ寄り添えるか、そして、その、それぞれのご家族の「思い」を汲み取り、形にできるかだと思います。
家づくりパートナー
加賀江 広宣
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